2008年の少年法改正によって、被害者等が少年審判を傍聴することができるようになりました。
少年(20歳未満の者)が犯罪を犯した場合、その少年は家庭裁判所で少年審判を受けます。
少年法が改正されるまで、少年審判は、非行少年の健全育成を期するという少年法の理念の下で、完全に非公開で行われ、重大な犯罪の被害者であっても、その手続を傍聴することができませんでした。
そのため、被害者は、犯人である少年について、どのような審理を経て、どのような処分がなされることになったのかを直接見届けることができませんでした。
犯罪によって被害を受けた場合に、犯人が成人であったときはその処分を決める刑事裁判を自由に傍聴できるのに、犯人が少年であったときはその処分を決める少年審判を全く傍聴できないというのは、被害者にとっては納得し難いものでした。
被害者による少年審判の傍聴を認めるべきであるという少年事件被害者の声を受けて、少年法が改正され、少年審判傍聴制度が設けられたのです。
少年審判傍聴制度の対象となる事件は、故意の犯罪行為や交通事故などにより、被害者を死亡させたり、被害者の生命に重大な危険を生じさせる傷害を負わせたりした事件(例えば、殺人、傷害、強盗致死傷、危険運転致死傷、自動車運転過失致死傷など)です。
少年審判傍聴制度では、傍聴の申出を受けた家庭裁判所が傍聴を許可した場合に傍聴ができるものとされていますが、これまで傍聴の申出がなされた事件の大部分において傍聴が許可されています。
傍聴の申出ができるのは、被害者、被害者の法定代理人(未成年の被害者の親権者など)、被害者が死亡した場合や被害者の心身に重大な故障がある場合における被害者の配偶者、直系の親族、兄弟姉妹です。
少年審判は、通常、事件発生から間がない時期に行われます。
このため、傍聴する被害者等が、傍聴時に強い不安感や緊張感を覚える場合があり得ます。
そのような場合に備えて、家庭裁判所は、傍聴者に、その不安感や緊張感を緩和するのに適当な者の付き添い認めることができることとされています。
これまで傍聴付添いの申出がなされた事件の大部分において、傍聴付添いが許可されています。
傍聴付添者の例としては、被害者支援団体の支援員や弁護士、被害者の親族などがあげられます。
少年犯罪によって被害を受け、犯人の少年審判を傍聴したいと思うけれども、一人で傍聴するのは心細いという方は、信頼できる人から付添ってもらって、少年審判を傍聴しましょう。