よくある質問

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被害者支援弁護士とは

Q:刑事手続きと民事手続きは何が違うの?

刑事手続きは、加害者に刑罰を与えるための手続きです。
他方、民事手続きは、個人と個人との間の紛争やトラブルなどを解決する手続きです。

Q:刑事手続きで弁護士はどのようなことをしてくれるの?

弁護士以外で刑事手続に詳しい人は、めったにいません。
そのような方の代わりに、被害者を支援する弁護士が警察や検察官、裁判所など各機関との窓口になり、下記の手続きを補助します。
具体的には、
・捜査の段階
・裁判の段階
・不起訴になった段階
について、それぞれ支援します。

Q:捜査の段階で、弁護士はどのようなことを支援してくれるの?

・告訴状や被害届を作成し、提出します。
・事情聴取のために、警察署や検察庁などに同行します。なお、事情聴取の際に付き添いができるかどうかは、どのような被害かによって異なります。
・加害者との示談や賠償の話の窓口になります。

Q:裁判の段階で、弁護士はどのようなことを支援してくれるの?

・検察官が刑事裁判に提出する予定の記録の内容を確認します。
・刑事裁判の傍聴席を確保をしたり、傍聴に付き添います。
・被害者参加する場合に、被害者に代わって被告人や情状証人に質問をしたりなど参加のお手伝いをします
・被害者の心情意見陳述のお手伝いをします。
・刑事和解や損害賠償命令の申立てをします。

Q:不起訴になった段階で、弁護士はどのようなことをしてくれるの?

・検察官に対して、不起訴になった理由の説明を求めることができます。
・不起訴処分になった場合、不服申立て(検察審査会制度)ができます。

Q:民事手続きで弁護士はどのようなことをしてくれるの?

専門知識を要する民事手続きを、被害者を支援する弁護士が代理して行うことができます。
・加害者との示談交渉、民事調停や損害賠償を求める訴訟の申立てができます。
・刑事手続きの中で損害賠償命令や刑事和解の申立ての手続きができます。
・また、DV・ストーカー被害の場合は保護命令の申立てや離婚手続も代理で行うことができます。

Q:弁護士はマスコミ対応はしてくれるの?

報道機関からの取材に対して、被害者を支援する弁護士が窓口になります。

Q:弁護士の知り合いがいない場合、紹介してくれるところはあるの?

被害者支援センターやワンストップ支援センターで被害者支援の知識がある弁護士を紹介してくれます。
また、各地の弁護士会や行政が法律相談を行っていますが、被害者支援の知識がある弁護士が担当になるかはわかりません。

Q:弁護士はどう決めたらいいの?

被害に遭うと、それだけでとてもつらいです。また、“今後どうなっていくのだろう”という不安がつきまといます。
そうした中で、親身になって話を聞いてもくれ、その不安を解消し、実行してくれる存在が被害者を支援する弁護士です。
そのため、被害者支援の経験が豊富な、被害者支援に精通した弁護士を選ぶのがよいでしょう。

Q:弁護士費用が心配だけど…

・弁護士費用は、原則としては被害者が負担しなければなりません。
・金額については、弁護士や法律事務所によって異なりますので、担当される弁護士に問い合わせましょう。
なお、一定の資力や収入に満たない方については、以下のような援助制度があります。
各制度の申込みは弁護士が行いますが、弁護士によっては利用できない可能性もあります。
弁護士に相談する際、各制度を利用できるか相談しましょう。

(1) 刑事手続きについて、現預金の合計額が300万円以下の場合などに、日本弁護士連合会が援助をしてくれる制度(日本弁護士連合会委託法律援助制度)を利用できます。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/justice/houterasu/hourituenjyojigyou.html

(2) 刑事裁判になり、被害者参加制度を利用する場合に、被害者の現預金の合計額から被害に関する費用などを差し引いた金額が200万円未満の場合に限り、国がその費用を負担してくれる国選被害者参加弁護士制度もあります。
https://www.houterasu.or.jp/higaishashien/seido/higaisha_sankanin/index.html

(3) 民事上の損害賠償請求をする場合に、収入や資力が乏しい被害者には、法テラスの民事法律扶助制度を利用して負担を軽減できる場合もあります。
https://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/mokuteki_gyoumu/minjihouritsufujo/index.html

Q:弁護士に相談に行くとき、何を持って行ったらいい?

事件に関する書類や写真、動画などがあれば持っていきましょう。
相談に行く際に、事前に担当弁護士に確認しておきましょう。

Q:担当している弁護士が自分と合わなかった場合、変えることはできるの?

被害者を支援する弁護士と依頼者の間は、委任契約を締結することになります。
委任契約とは、双方の信頼関係をもとに成り立っているものですので、いつでも解除することができます。
ただし、すでに着手金を支払っている場合には、その全部または一部を返還してもらえない可能性があります。
また、援助制度(上記質問)を利用した場合には、自由に解除することができなくなります。

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被害に遭ったら

相談窓口

Q:相談窓口は何があるの?

今後の刑事手続き、民事手続きを進めるかどうか検討するためには、被害者を支援する弁護士への相談が一番です。
急ぎの対応をしてもらいたい場合は、管轄の警察署に相談しましょう。警察署に電話をかけ、あるいは訪問し、窓口で被害内容をお伝えすると、担当する課につないでくれます。
その他の窓口としては、被害者支援センターが相談を受け付けてくれます。
また、性犯罪被害を受けた場合には,ワンストップ支援センターへの相談がおすすめです。
被害者支援センターやワンストップ支援センターに相談した場合、弁護士相談につなげてもらうことができます。

Q:警察に通報した場合、必ず被害届を出さないといけないの?

警察に通報したとしても、ただちに被害届を出したことにはなりません。
被害届を出すか出さないかは、被害者が自由に決められます。

Q:被害者支援センターってどんな組織?

性犯罪に限らず、犯罪・事故で被害に遭われた方やその家族の方が抱える悩みや心のケアを支援する組織です。
https://www.nnvs.org/shien/list/

Q:ワンストップ支援センターってどんな組織?

性犯罪・性暴力に関する相談窓口です。警察、産婦人科医療やカウンセリング、弁護士などの専門機関とも連携しており、その方が必要としているサポートする組織です。
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html

Q:ワンストップ支援センターと被害者支援センターの違いはなに?

性犯罪被害の場合、被害を受けてから間もない場合(被害に遭ってから1~2週間程度)には、早期に産婦人科医療を受ける必要がありますので、まずはワンストップ支援センターに相談しましょう。性犯罪被害を受けた後、しばらく期間が経過しているような場合は、どちらに相談することもできます。
性犯罪以外の被害に遭った場合は、被害者支援センターに相談しましょう。

Q:精神的に参ってしまった場合、相談できる場所ある?

被害に遭うと、精神的につらく、不安定になるのは当然です。
そうしたときに、医師など専門家の治療を受けることで、回復に向かうことがあります。
警察へ届け出をしている事件では、警察が費用を負担してくれますし、また、ワンストップ支援センターや被害者支援センターも、費用を負担してくれることがありますので、すぐにご相談ください。

捜査手続き

Q:手続の概要

Q:被害届と告訴は何が違うか

告訴の場合、警察は捜査した上で速やかに検察官に事件を送らなければなりません。
他方、被害届の場合は、必ずしも捜査が開始されるわけではありません。
また、器物損壊罪など告訴を前提とする罪(親告罪)の場合には、被害届では足りず、告訴する必要があります。

Q:警察への被害届や告訴は自分でしないといけないか

被害者を支援する弁護士が代理人として行うことができます。

Q:加害者がわからない場合、どうしたらいい?

知人以外が加害者になる場合は、加害者が誰かわからないのが通常ですので、加害者がわからなくても全く問題ありません。

Q:加害者に自分の個人情報を知られたくない

捜査段階、裁判段階を通じて、住所が知られないように適切な対応を求めることができます。

Q:1人で警察に行くのがこわい

被害者を支援する弁護士、被害者支援センターやワンストップ支援センターの支援員が警察署まで付き添うことができます。

Q:弁護士は事情聴取に立ち会ってくれるか

事情聴取に立ち会えるかどうかは、どのような被害であるのかによっても異なります。
性被害の場合は、事情聴取にも立ち会うこともできますが、それ以外の犯罪被害の場合には事情聴取に立ち会うことは難しいです。

Q:被害に遭ったことを身内や知人には知られたくない

被害内容などにもよりますが、極力必要な人以外に知られないように配慮を求めることができます。
被害の申告をするときに、相談をしましょう。

Q:どうして何度も事情聴取で同じことを聞かれるのか

そのように感じるのは当然だと思います。しかし、あなたを疑っているわけではありません。
何度同じことを聞いても、話す内容がかわらないかをチェックすることで、記憶の確かさを確認する意味が含まれています。

Q:被害に遭ってから長い時間が経っているが、処罰は求められるか

刑事手続きで加害者の処罰を求める場合も、民事手続きで賠償を求める場合も、タイムリミット(公訴時効)があります。

Q:捜査がなかなか進んでいないようだが、何か言えるか

事案によっては後回しにされてしまうこともあります。
そこで、被害者を支援する弁護士が窓口になり、捜査状況を確認したり、捜査を促すことができます。
また、参考になりそうな資料や証拠を集めて提出することもできます。

Q:警察からの連絡窓口を弁護士にお願いできるか

可能です。
ご希望によって、日程調整の連絡等も弁護士窓口で対応することができます。

加害者について

Q:加害者から示談したいと言われたけど、示談したらどうなるか

示談した場合、検察官の起訴するか不起訴にするかの判断や、起訴された後の刑の重さに影響があります。
他方で、被害を受けて、様々な費用の支出を余儀なくされている場合には、少しでもそれを回復したいと思うのは当然です。
また、証拠が不十分で不起訴になってしまいそうなケースもあります。その場合は、せめて経済的回復を図りたいと考えると思います。
刑罰を求めるか、被害回復を求めるかなどの判断に非常に迷うところですので、きちんと被害者を支援する弁護士に相談しましょう。

Q:加害者からの報復が怖い

警察が再被害に遭うことのないよう、再被害防止に努めてくれます。
付近をパトロールしてもらったり、あらかじめ警察に電話番号や事案の内容を登録してもらうことで、110番通報をしたときにすぐに概要がわかるようにする制度(緊急通報登録制度)もあります。
また、加害者から不必要に接触があるような場合には、被害者を支援する弁護士から加害者に対して接触を控えるよう求める通知文書を送ったり、裁判所に仮処分を求める手続きを行うこともできます。

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刑事裁判になったら

手続

Q:手続の概要
裁判の流れは、次のとおりです。

Q:裁判は傍聴できるか

刑事裁判は公開されていますので、いつでも傍聴することができます。事件当事者であれば、優先的に傍聴席を確保してもらえます。
他方、少年事件は、原則公開されていません。ただ、故意の犯罪行為で被害者を死傷させた罪や、業務上過失致死傷等の罪の場合などには、裁判所が傍聴を認めることができるとされています。

Q:裁判所で証言をしなければならないか

加害者が犯罪事実を認めていなかったりした場合には、証言しなければならない場合もあります。

Q:加害者や傍聴人の前で証言をするのはこわい

証言台の隣で付添人に付き添ってもらえたり、加害者や傍聴人の間についたてを設けてもらったり、別室でテレビモニターを使って証言することが認められることがあります。

Q:裁判の内容は知りたいけど、法廷には行きたくない

検察官に裁判の内容を聞くことができます。
被害者を支援する弁護士や被害者支援センター、ワンストップ支援センターの支援員が代わりに傍聴をすることができます。

被害者参加

Q:被害者参加概要

(1) 公判期日に法廷で検察官の近くに着席し、裁判に出席することができます。
(2) 検察官の訴訟活動に対して意見を述べたり、説明を求めたりすることができます。
(3) 情状証人や被告人に対して尋問をすることができます。
(4) 事実や法律の適用について、法廷で意見を述べることができます。(被害者論告)

Q:加害者に気持ちをぶつけたい場合、どのような手続きがあるの?

心情に関する意見陳述ができます。
意見陳述の方法は、被害者本人が、意見の内容を記載した書面を法定で読み上げるのが一般的です。
被害者が読み上げることができない場合は、裁判長、または検察官や被害者を支援する弁護士が代読する場合もあります。

Q:裁判には出席したいけど、加害者や傍聴人に顔を見られたくない

加害者や傍聴人との間に衝立を設けてもうらよう、裁判所に要求することができます。

Q:情状証人に対して、どのような質問ができるの?

加害者やその親族による示談や、謝罪の状況など、情状について、情状証人の話す内容に疑問を投げかけるような質問をすることができます。

Q:被告人に対して、どのような質問ができるの?

情状に関することだけでなく、事実に関する質問をすることができます。

Q:被告人に直接質問するのは怖い…

被害者を支援する弁護士が代わりに行うことができます。
また、場合によっては検察官に質問をしてもらうこともできます。

Q:裁判に出るために、会社から有給休暇はもらえるか

有給休暇の取得にあたって特別な理由は不要です。
また、厚生労働省では、被害者のための休暇制度の促進を行っています。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/101216_02a.pdf

Q:遺影をもっていくことはできるか

当事者席に遺影を持って入り、机の上に置いた入り、膝の上に立てたりすることはできませんが、バックの中に入れておくことは構いません。
これに対し、傍聴席であれば遺影を持って入り、膝の上に立てることは許されています。ただし、大きさや着席する位置などを指定されます。

Q:裁判記録はみせてもらえるか

・起訴後~第1回公判前は、事件を担当している検察官に記録をみせてもらったり(閲覧)、被害者を支援する弁護士がついていれば、コピー(謄写)をさせてもらうこともできます。
・第1回公判後から裁判が確定するまでは、裁判所に記録の閲覧・謄写を依頼します。
・裁判が確定した後は、地方検察庁に対し、閲覧・謄写を依頼します。
・謄写する場合はいずれも有料です。また、謄写については、弁護士に限定されている場合がほとんどです。
ゆっくりと裁判記録を見たい場合は、弁護士に謄写してもらい、弁護士の事務所にて閲覧するようにしましょう。

判決

Q:裁判結果は教えてくれるか

被害者参加制度を利用していなくても、検察官から裁判結果などを通知してもらえる制度があります(被害者等通知制度)。
事件を取り扱った担当検察官に、申請をします。

Q:判決内容に不服があるが、被害者が控訴できるか

残念ながら、現在の法律では、控訴をする権利は検察官と加害者にしか認められておらず、被害に遭われた方には認められていません。
ただし、担当検察官は、被害に遭われた方の意向を十分にくみ取り、できるだけ反映させていくことが求められています。
そこで、被害者を支援する弁護士は担当検察官に対して控訴するよう意見書を提出することができす。
検察官が控訴しないとしたときは、その理由をわかりやすく説明することとされています。
仮に、担当検察官の対応に不服がある被害者は、その上司に不服を申し立てることもできます。

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少年事件

概要

Q:少年事件の流れ

Q:少年法が改正されたときくけど、何がどうかわったの?

18歳以上は成人になったため、18、19歳を「特定少年」と位置付けました。
その上で、以下のとおり変わりました。

Q:不定期刑って何?

あらかじめ服役する期間を定めない刑罰です。
たとえば、「懲役〇年以上〇年以下」などです。

審判手続きへの関与

Q:少年審判では、どのように関与できるの?

以下の内容の関与ができます。

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服役中~後

Q:加害者は刑務所の中で何をしているの?

刑務所内では、刑務作業が中心となります。
刑務作業は1日8時間で、土日祝日は休むことができます。
また、職業訓練も行われるようです。

Q:加害者が刑務所や少年院内での処遇状況を知りたい

刑事裁判が確定した後、事件を取り扱った検察庁に書面を提出することで、通知を受けられます。
通知の内容は以下のとおりです。

(1) 収容されている刑務所の名称・所在地
(2) 実刑判決が確定した後、刑務所から釈放される予定の年月
(3) 受刑中の刑務所における処遇状況(おおむね6か月ごとに通知)
(4) 刑務所から釈放された年月日
(5) 執行猶予の言渡しが取り消された年月日
(6) 仮釈放審理を開始した年月日
(7) 仮釈放を許す旨の決定をした年月日
(8) 保護観察が開始された年月日や保護観察終了予定年月日
(9) 保護観察中の処遇状況(おおむね6か月ごとに通知)
(10) 保護観察が終了した年月日

Q:被害者の気持ちを学ぶ機会はあるか

「生命のメッセージ展」を全国の刑務所や少年院で開催したり、講演をお紺ったり、事件の類型に応じたプログラムが実施されています。
また、被害弁所の指導をすることもあります。

Q:仮出所や仮退院するって書いてあるけど、意見を言いたい

意見等聴取制度といいます。
被害者本人、その法定代理人、被害者が死亡又は心身に重大な故障がある場合は配偶者・直系の親族・兄弟姉妹、又は弁護士は、仮釈放や仮退院について、意見を言うことができます。
意見を伝える方法ですが、保護観察所に電話をかけ、意見を述べたい旨申し出る必要があります。

Q:加害者本人に意見を言いたい

心情等伝達制度という制度があります。
これは、被害者担当の保護観察官が、被害者から被害に関する心情を聞き、加害者を担当する保護観察官が加害者に対して、被害に関する心情や、被害者の状況などを伝える制度です。
希望がある場合は、保護観察所に申し出る必要があります。

Q:出所後の加害者の居場所は教えてくれるか

犯行の動機・態様、組織的背景、加害者との関係、言動その他の状況に照らし、相当と認められる場合は、出所の予定時期や、特に必要と認めた場合には帰住先が通知されます。

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不起訴になったら

Q:不起訴になった場合、検察官から連絡はくるの?

告訴した事件については、不起訴通知が行われます。
また、被害に遭われた方なや、その親族などに対しては、被害者等通知制度に基づき、通知を求めることができます。

Q:不起訴になったことについて、検察官に説明をしてもらいたい

被害者は、不起訴の通知を受けることができます。
ただ、簡単な結論だけしか記載されていません。
なぜ、不起訴になったのか、その理由について担当検察官に説明を求める必要があります。
ただ、実際は、形式的な理由しか述べない検察官が多いので、被害者を支援する弁護士に同行してもらって、法律的な観点から詳しく説明を求めなければ、納得できないでしょう。

Q:不起訴になったことがどうしても納得できない

不起訴に対しては、検察審査会に不服申し立てをすることができます。
申立書の書式はありますが、「不起訴処分を不当とする理由」について、適格に記載する必要があるため、弁護士に依頼するとよいでしょう。

Q:検察審査会に申し立てする場合の手続きは?

被害者や告訴をした人が申立てをすることができます。
申立ては審査申立書を検察審査会に提出して行います。
申立てにあたって、検察審査会に対する費用はかかりません。

Q:検察審査会の流れは?

検察審査会での審査の流れは、下記のリンク先をご参照ください。
https://www.courts.go.jp/links/kensin/shinsanonagare/index.html

Q:不起訴になった場合に、事件記録を見たり、コピーしたりできるの?

実況見分調書や写真撮影報告書などの客観的な証拠について閲覧が認められています。
詳細は、以下のホームページをご覧ください。
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji23.html

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賠償・補償

裁判外での話し合い

Q:どうやって交渉していくか

加害者本人か、弁護人が要る場合は弁護人と交渉します。こちらの要望を伝え、折り合える条件を見つけていきます。

Q:どんな条項を入れることができるか

賠償金の条項や、接近禁止条項、口外禁止条項を入れたりします。また、連絡先や画像データの消去を求めることもあります。

Q:交渉がまとまった場合、書面は作成するか

通常は「示談書」や「合意書」などの書面を作成します。

Q:交渉がまとまらなかった場合はどうなるか

交渉がまとまらない場合は、民事調停等の手続きに移行する必要があります。

Q:加害者の身内に保証人になってもらいたい

保証人となる人の同意があれば、保証人をつけることができます。

刑事和解

Q:どういう制度か

加害者との間で賠償等の合意が成立した場合に、刑事事件を扱う裁判所に対し、共同して合意があった事実を裁判所の記録(公判調書)に記載してもらう制度です。この制度を利用すると、裁判上で和解した場合と同じの効力を持ちます。

Q:裁判外での話し合いとは何がちがうの?

強制執行をするための手続きに差が生じます。加害者が合意の内容を守らなかった場合、裁判外での話し合いの場合は、一度民事訴訟を起こし、勝訴判決をもらう必要があります。
他方、刑事和解の場合は、公判調書で強制執行の申立てをすることができます。

民事調停

Q:どうやって進むか

簡易裁判所に調停の申立てをします。
その後、通常は1、2か月後第1回目の期日が設定されます。
第1回の期日までに、調停の書類が加害者に送達されます。

Q:費用はどれくらいかかるか

裁判所に納付する必要は、請求する金額に応じた収入印紙代と郵便切手代です。
そのほか、弁護士で対応する場合は、弁護士費用もかかります。

Q:どれくらいの期間がかかるか

通常は1、2か月に1回程度、期日が入れられます。
話し合いの内容によって、早期解決できる場合もあれば、長期間要することもあります。

Q:加害者と顔を合わせる必要はあるか

調停員2名が交互に話を聞きますので、顔を合わせる必要はありません。

Q:話合いがまとまらなかった場合はどうなるか

調停不成立となり、請求を希望する場合は訴訟をする必要があります。

Q:公開されるか

調停は公開されず、裁判所に掲示される期日簿にも掲載されません。

民事訴訟

Q:調停と何が違うか

調停は、“裁判所での話し合い”です。
他方訴訟は、裁判官が請求内容が適当かを判断し、命令を下す手続きです。

Q:裁判費用はどれくらいかかるか

裁判所に納付する必要は、請求する金額に応じた収入印紙代と郵便切手代です。
そのほか、弁護士で対応する場合は、弁護士費用もかかります。

Q:どれくらい時間がかかるか

通常は1、2か月に1回程度、期日が入れられます。
その後は、主張・反論の内容によって早期解決できる場合もあれば、長期間を要することもあります。

Q:公開されるか

裁判は公開が原則です。
ただし、氏名や住所などを秘匿したり、記録の閲覧制限ををすることもできます。
また、尋問の場合には、傍聴席等との間に遮蔽を設けたり、ビデオリンクでの尋問が認められる場合があります。

Q:弁護士費用は請求できるか

不法行為に基づく損害賠償請求の場合は、請求金額の1割を弁護士費用として請求します。
また、判決になれば、認められた金額の1割が弁護士費用とし手認められます。

損害賠償命令

Q:損害賠償命令ってなに?

殺人などの一定の重大犯罪について、刑事事件の裁判に引き続いて、加害者に対して賠償を求める制度です。

Q:手続の流れは?

Q:費用はどれくらいかかるか

裁判所に納付する費用は、収入印紙代2000円と郵便切手代がかかります。

Q:民事訴訟で判決をもらう場合と効力は同じか

効力は判決と同じです。

長期間経過後

Q:被害に遭ってから長い時間が経っているが、損害賠償できるか

不法行為による損害賠償の請求権は、

(1) 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間(人の生命・身体の侵害による請求の場合)行使しないとき。
(2) 不法行為のときから20年以内は、時効にかかってしまい、請求できません。

ただし、期間の経過のスタートをいつにするかは事案によって異なります。また、加害者が請求を認めるような言動があったりした場合は、時効が中断します。
法的な判断が必要な場面ですので、弁護士に相談しましょう。

回収の問題

Q:加害者に対して賠償命令が出たけど、加害者が支払わない

交通事故で、加害者が任意保険をかけていいる場合は、保険会社から支払ってもらいます。
それ以外の場合は、差押えできそうな財産がないか調査します。
預貯金や車の登録など、弁護士会を通じて照会をかけます。
財産があれば差押え手続きに入ります。
ただ、殺人罪などで加害者が長期間服役するような場合には、回収が困難であるのが実情です。

Q:刑務所で働いたときのお金(報奨金)は差し押さえできるの

判例上、報奨金は差押えが認められていません。
他方刑務所内に預けているお金がある場合は、差押えできる余地があります。

Q:賠償命令は何年間効力があるか、効力は切れてしまいそうなときはどうするか

賠償命令は、判決が確定した日の翌日から10年間効力があります。
効力が切れてしまいそうなときは、再度訴訟を起こし、時効を延ばす必要があります。

犯罪被害者給付金

Q:犯罪被害者給付金とは?

故意の犯罪行為により亡くなったり、重傷病を負うなどした場合に、被害者やその遺族に対して給付金を支給する制度です。
https://www.npa.go.jp/higaisya/kyuhu/index.html

Q:どのような場合に支給されるか

人の生命または身体を害する罪に当たる故意行為により、死亡、重傷病又は障害を負った場合に支給されます。

Q:手続を知りたい

警察署等で申請を受け付けてくれます。

Q:手続を依頼することはできるか

弁護士が代理で申請することができますし、また、被害者支援センターが申請に協力してくれます。

Q:どのような種類の給付金があるの

遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金があります。
https://www.npa.go.jp/higaisya/kyuhu/pdf/hankyuukinP2_3.pdf

Q:被害に遭ってから長い時間が経っているが、申請できるか

犯罪被害による死亡、重傷病又は障害の発生を知った日から2年(知った日とは、申請者が当該犯罪による被害を知った日) または、当該死亡、重傷病又は障害が発生した日から7年(発生した日とは、当該犯罪による被害が発生した日) のいずれかの期間を経過するまでに申請する必要があります。

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罪名別のQ&A

殺人事件

Q:ご遺体の搬送費用はどうなるのか

殺人事件の場合、ご遺体は死亡原因の解明のために解剖されるのが通常です。
解剖後のご遺体をご自宅や葬儀場に搬送する費用は、これまではご遺族が負担することとされてきました。しかし、各都道府県の警察ごとに、費用の全部あるいは一部を負担したり、搬送を受託する業者を手配してくれたりされるようになっています。詳しくは、管轄の警察にお問い合わせください。

Q:自宅が殺人現場のとき当面の住まいどうすれば良いのか

自宅が殺人現場となった場合のように、被害者やご遺族が自宅に帰れないと考えることがもっともであるとされるケースにつき、警察では一時的な宿泊先としてホテルなどの手配をしてくれることがあります。これも管轄する警察によって異なりますので、お問い合わせください。

Q:裁判に出るため会社から有給休暇が貰えるのか

有給休暇を取得する際には理由は問われることはありませんので、裁判に出るために有給休暇を取ることができます。ただし、職場が繁忙期などで有給休暇の取得時期を変更するように求められた場合には、上司に事情を話したうえで、裁判の日に有給休暇を取ることができるように依頼して下さい。
そのような配慮も、雇用主には求められるところです。

Q:警察への事情聴取はいつ頃行われるのか

犯人が逮捕されている事件では、捜査機関が事件のために捜査を行うべき期間が限定されることになりますので、事件後遅くない時期に事情聴取が行われることとなります。しかし、事情聴取はあくまで任意のものですので、もし都合が悪いなどで指定に日時に応じることが難しいときは、その旨を告げて相談をしてください。

Q:事情聴取では、どんなことを聞かれるのか

被害者の経歴や人柄、犯人との関係、事件のついて犯罪を立証するために必要となる動機や犯行状況などに関する事項、犯人に対する処罰の感情などが一般的に聴取されることとなります。

Q:事情聴取に弁護士に同行してもらえるのか

捜査機関による事情聴取の際は、第三者が立ち会うことでその供述の信用性を疑われる事情となりかねないことから、原則として弁護士が同行、立会をすることはできません。ただし、事情聴取の事前、事後に弁護士からアドバイスを受けることは可能です。

Q:犯人が、なかなか捕まらないとき警察に何か要望した方が良いのか

たとえば、私たちが関わったケースでも、犯人に繫がる情報提供を求めてチラシを配布したり、情報提供者に対して懸賞金を出すなど、警察の協力の下で行い、その結果として犯人の逮捕に繫がったケースもありますので、捜査担当の警察官に相談をしてみてください。

Q:殺人事件について時効はあるのか

以前は殺人事件についても時効がありましたが、2010年4月の法改正により、現在は殺人事件については時効が撤廃されています。したがって、2010年4月以前の事件でも、それまでに時効が完成していなければ、時効にかかることはありません。

Q:犯罪被害者給付金は親族間の犯罪でも支給されるのか

犯罪被害者給付金については、親族間の犯罪の場合に支給がなされなかったり、支給がなされても通常の金額から減額される場合があります。ケースによって異なりますので、詳しくは弁護士や警察に相談してください。

Q:裁判に参加したら後でお礼参りをうけないか

加害者が実刑判決で刑務所に入所した場合には、希望をすれば加害者がいつ刑務所から出所するかを教えてもらえるように希望することが可能です。
また、出所後、お礼参りの危険があるような場合には、最寄りの警察署に巡回などの見回りをしてもらうことも可能です。

Q:裁判が確定したら、刑務所での様子について教えてもらえるのか

遺族は、加害者がどこの刑務所で受刑をしているのか、そこではどのような処遇を受けているかという情報を提供してもらうことができます。そのような情報を希望する場合には、裁判が確定後に検察官に申出をしてください。

Q:仮釈放は事前に通知されるのか、そのときに意見言えるのか

これも、遺族は事前に仮釈放時に通知をするように希望をすることができますし、仮釈放を行うかどうかを決める審査会に遺族としての意見をいうこともできます。
これらも希望者についてのみ認められるものですので、事前に希望を出しておくことが必要です。

性犯罪(強制わいせつ、強制性交など)

Q:性被害に遭ってしまった場合、まずはどうしたらいい?

被害に遭って間もない場合、着衣や身体などの触れた場所に加害者のDNAや指紋が残っている可能性があります。
これは、当該人物が加害者であること証明する重要な証拠になります。
そのため、すぐに警察に通報しましょう。
警察に行くのを躊躇する場合は、ワンストップ支援センターへの相談しましょう。

Q:上司・同僚から被害に遭ってしまったが、会社には言わないといけないか

会社に言う義務まではありません。
できるだけ人に知られたくないという気持ちは当然です。
しかし、会社が事実を知らない場合、上司・同僚と顔を合わせることになってしまいます。
自身が会社を休むには、傷病休暇や有給休暇を取得しないといけなくなります。
また、就業時間中になされた場合は、加害者に対する懲戒事由になったり、場合によっては会社に責任を追及できることもあります。

Q:自宅で被害に遭ってしまい、怖くて家に帰れない

警察では、自宅が犯罪行為の現場となり、破壊されるなど、居住が困難で、かつ、犯罪被害者等が自ら居住する場所を確保できない場合等に、一時的に避難するための宿泊場所に要する経費及び自宅が犯罪行為の現場となった場合におけるハウスクリーニングに要する経費を支出する制度があります。
また、被害者支援センターでも緊急宿泊費などの支援を受けられます。

Q:被害にあったときに来ていた洋服はどうすればいい

加害者のⅮNAが付着している可能性があります。未使用のビニール袋などに入れて密封し、警察に渡してください。

Q:弁護士は事情聴取に同行してくれるか

警察署まで同行することは可能です。
また、場合によっては事情聴取等にも付き添うこともできます。

Q:加害者は「同意があった」と言っているみたいだけど…

加害者の弁解として、主に、

(1) 自分は犯人ではない
(2) その場にいたが行為はしていない
(3) 同意があった 又は 同意があったと思っていた

というものが考えられます。
(3)については、特に知人同士の場合になされる弁解です。
被害を訴えているのに「同意する」ことは考え難いです。
他方、「同意があったと思っていた」との弁解の場合、同意があると勘違いするような状況であったかが問題となり、場合によっては不起訴や無罪になることもあります。
この点については、不同意性交罪を認めるべきとして、法改正を訴えているところです。

Q:性犯罪にはどんな罰がある? また、公訴時効は?

刑法上、以下の規定があります。
なお、性犯罪の規定は法改正が検討されています。最新情報は随時アップします。

交通事故(刑事)

Q:交通事故の被害に遭いました。加害者はどのような罪で罰せられるのでしょうか?

被害者が怪我をした場合であれば過失運転傷害罪、お亡くなりになった場合であれば過失運転致死罪に問われるのが通常です。
但し、被害の程度・内容、事故の態様といった様々な事情、状況により不起訴となるケースもあります。他方で、特に「危険運転」により上記の事故を起こした場合には危険運転致死傷罪という特別に重い罪で罰せられる可能性があります(A2~3参照)。

Q:加害者が事故を起こしたときにお酒を飲んでいた場合、どのような罪になりますか?

上記A1の過失運転傷害罪、過失運転致死罪に、道路交通法違反の罪として、その飲酒の程度に応じて酒気帯び運転の罪、酒酔い運転の罪が加わりより重く処罰される可能性があります。特に酒酔い運転のケースで、飲酒の影響がひどく、「危険運転」と認められるケースでは危険運転致死傷罪が科されることがあります。

Q:加害者が事故を起こしたときにスピード違反を犯していた場合、どのような罪になりますか?

上記A1の過失運転傷害罪、過失運転致死罪に、道路交通法違反の罪として、スピード違反の罪が加わりより重く処罰される可能性があります。また、特にスピード違反の程度がひどく「危険運転」と認められるケースでは危険運転致死傷罪が科されることがあります。

Q:加害者は事故を起こした後逃げてしまいました。どのような罪になりますか?

上記A1の過失運転傷害罪、過失運転致死罪に、道路交通法違反の罪(いわゆる「轢き逃げ」)として、救護義務違反の罪、報告義務違反の罪が加わりより重く処罰される可能性があります。

Q:加害者は死亡事故を起こしたのに、逮捕されずに普通に暮らしているようです。おかしくありませんか?

犯罪が起きたとき、被疑者を逮捕するには、被疑者が逃亡したり、罪証を隠滅したりする恐れがあることが必要となります。
従って、被疑者が必ず逮捕されるわけではありません。そして、交通死亡事故の場合でも、酒酔い運転、無免許運転などの悪質性が伴わない場合で、被疑者に前科がなかったり、事故態様を認めて真摯に反省していたり、任意保険に加入しており被害弁償も見込まる場合など、様々な事情、状況に応じて、被疑者が逃亡したり、罪証を隠滅したりする恐れがないと判断されて逮捕がされないケースも意外にもしばしばみられることなのです。
従って、加害者が逮捕されない状況が「おかしな状況」かどうかは、個別具体的なケース次第ということになります。

Q:警察が加害者の言い分だけ聞いてなかなかきちんと捜査を進めてくれないように感じています。どうしたら良いでしょうか?

交通事故の態様がどのようなものであったかについては、加害者被害者双方が立会いの下での実況見分において、双方の言い分を聞きながらドライブレコーダーなどの客観的な証拠とも照らしながら「実況見分調書」等の捜査書類が作成され、これが加害者を起訴するか否どうかの判断や起訴した後の刑事裁判でも極めて有力な証拠資料となります。民事の保険金請求や損害賠償請求や民事の裁判においても事故態様の解明の重要証拠となる点は同じです。
ところが、被害者がお亡くなりになったり、重傷を負ってそのまま長期入院を余儀なくされるような場合、被害者が不在のまま、加害者の自分に有利な言い分だけで実況見分調書などが作成され、これが既定の事実、事故態様としての刑事手続が進められてしまうということが起こってしまいます。
そして、事故から長期間が経過してから被害者が事故態様が真実と違うと主張してもなかなか通用しないのが実情です。
このような事態を避けるためには、被害者が事故後なるべく早い段階で、被害者が立ち会った上での、改めての実況見分を実施することを捜査機関に求めていくことが大事です。ご自身での対応が難しい場合は専門家である弁護士に依頼して捜査機関への対応をしてもらうことも是非とも検討すべきでしょう。

Q:弁護士に依頼した場合、弁護士に警察の実況見分に一緒に付き添ってもらったり、取り調べに付き添ってもらうことはできますか?

いずれの付き添い(同行)も可能です。但し、特に取り調べの場に弁護士が同席することまでは通常は認められていません。

Q:検察官が加害者を不起訴処分としてしまいました。何か不服を述べるようなことは出来るのでしょうか?どうしたら良いのでしょうか?

検察官が下した不起訴処分に不服がある場合には、検察庁に連絡をして、まず不起訴処分の理由、根拠を教えてくれるよう申し入れて下さい。通常教えてくれます。その説明に納得が出来ない場合、「検察審査会」へ不服申立をすることができます。
但し、検察審査会によって、検察官の不起訴判断が覆されることは極めて稀です。その他の不服申し立て方法としては、不起訴処分を下した検察官に対し、不服の理由を記載した上申書を提出するなどして改めて起訴するよう検察官に働きかけ(検察官を理屈によって説得し)たり、証拠が不十分であれば、目撃者を探したり、私的鑑定などを行い証拠化しこれを提出して検察官に再捜査を求めたりしてゆくことが考えられます。
但し、一度下した不起訴処分を、検察官が覆すことも、新たに証拠が発見されたような場合を除き極めて稀です。                             検察官が加害者を不起訴処分にした場合の対応については、交通事故捜査に関する問題や刑事手続における被害者支援問題を日頃から取り扱っている専門の弁護士に一度ご相談されることをお勧めいたします。また、不起訴になった場合の項目(項目●)もご参照下さい。

Q:加害者が起訴されたとの連絡を受けましたが詳しい事実関係については警察からも検察からも聞いていません。加害者がどのように処罰されるのか知りたいのですがどのようにしたら良いのでしょうか?

検察庁が加害者について起訴したのか不起訴処分としたかの処分結果については、「被害者通知制度」により被害者等に対して、起訴不起訴処分の結果、どのような罪名及び事実で起訴したか、裁判所、裁判期日、裁判結果などについて通知を行う運用がなされています。
従って、検察官の起訴不起訴の処分が決まる前の段階で通知をしてくれるよう検察官に申入れをしておくのが確実です。
そして、さらに、検察官に対し、捜査の状況、起訴の内容について説明してもらうことも出来ます。捜査資料を見せてもらいたい場合には一定の記録を見せてもらうことも可能です。さらには、加害者を裁く裁判そのものを傍聴したい場合に優先的に傍聴席を確保してもらったり、裁判所や加害者に被害者(遺族)の気持ちを直接伝えたい場合には法廷で心情を陳述する制度を利用することも出来ます。
さらには、裁判所に自ら出頭して(弁護士に依頼しない場合)、あるいは弁護士に委託して代わりに出頭してもらい、もしくは、弁護士に一緒に出頭してもらい(弁護士に依頼する場合)、刑事裁判手続そのものに参加する「被害者参加制度」(項目●参照)を利用して、加害者や、加害者側の証人に質問をしたり、加害者の処罰についての意見を述べたりすることが可能です。 

Q:加害者から謝罪したいと言われていますが、どうしたら良いでしょうか?断ることはできるのでしょうか?

加害者からの謝罪を受けるかどうかは全くの任意で自由ですから、これを受け入れるお気持ちがあれば応じることも出来ますし、事故の態様や被害の程度、加害者の態度、事故後の経緯などによって受け入れ難い場合には、拒否することが当然に出来ます。特に、加害者が起訴されて刑事裁判が行われるケースでは、加害者が被害者に謝罪をしていることや被害者がこれを受け入れていることは、加害者の刑事責任を軽くする事情として考慮されてしまうことには留意するする必要があります。

Q:加害者から示談したいと言われていますが、どうしたら良いでしょうか?断ることはできるのでしょうか?

加害者からの示談申し入れを受けるかどうかは全くの任意で自由です。これを受け入れることも、拒否することも当然に出来ます。特に、気を付けなければならないことは、加害者が起訴されて刑事裁判が行われるケースでは、被害者が一部の保険金や損害賠償金を受け取っていることや、さらには示談が成立していることは加害者の刑事責任を軽くする事情として考慮されてしまうことです。
そこで、加害者の刑事責任が徒に軽くなることを望んでいない場合や厳罰を臨んでいるような場合には、このような示談申し入れは刑事裁判が終わるまでは拒否するケースも多いです。

Q:加害者からの謝罪が全くありません。謝罪を求めたいです。

被害者の側から加害者に謝罪を求める場合、加害者の任意保険会社に連絡をしてその旨を伝えて下さい。任意保険会社から加害者にその申し入れが伝わります。加害者に弁護士が付いている場合は、その弁護士が代理人であり窓口ですから申し入れ先はそれらの弁護士ということになります。

Q:弁護士のところに相談に行きましたが、民事の保険金請求手続や損害賠償請求の話ばかりでした。しかし、私(たち)はこれらのお金の話よりもまずはなぜこのような酷い被害(重度の後遺障害が残ってしまった、家族が事故によって死亡したなど)に遭わせられなければならなかったのか、事故の原因や、今後どういった手続で加害者がどのように処罰されるのか、加害者が今何を考えているのか、といったことを知りたいのです。どうしたら良いのでしょうか?弁護士は被害者のために何をしてくれるのでしょうか?

被害者が酷い怪我をして重い障害を負ったり、お亡くなりになったりした場合のように、重大な被害が発生した交通事故であればあるほど、被害者(遺族)には被害直後の捜査の段階から弁護士による法的な助けが必要な状況にあるのは当然のことです。そして、その後の裁判の段階においても、加害者を裁く裁判にかかかわりたいとして、被害者参加制度を利用して加害者を裁く裁判に参加する交通事故被害者(遺族)は沢山おられます。                            ところが、交通事故の民事手続を専門的に取り扱うを弁護士は全国に一定数存在しますが、民事手続に先行して問題となる、捜査段階、刑事裁判の段階から被害者を支援していくという視点にたって活動している弁護士はまだまだ限られているのが現状です。
我々、犯罪被害者支援弁護士は、交通事故の被害者を「犯罪」の被害者として刑事手続(捜査手続及び刑事裁判手続)から支援することを弁護士の重要な役割と捉え、民事の問題は当然のこと、これに通常先立つ刑事手続の問題について、捜査段階から、被害者の代理人として被害者のニーズに応じた支援活動を、そして刑事裁判手においても被害者参加委託弁護士などとして支援活動を行うことになります。
犯罪被害者の支援活動(刑事手続についての支援)を日ごろから積極的に行っている弁護士に是非ご相談されることをお勧めいたします。

交通事故(民事)

Q:交通事故の被害者です。私が加入している任意保険会社に、示談交渉などの対応を全てお願いしたのですが断られてしまいました。どうしてでしょうか?

通常、交通事故の事故対応は、示談交渉も含めて加入している任意保険会社に代わりに行ってもらうことができますが、被害者に過失が全くない場合には、保険会社に示談交渉を代わりに行ってもらうことができない扱いとされています。
この場合、加害者や加害者の保険会社に対して、ご自身で直接連絡して交渉する必要があります。
弁護士を依頼したい場合のご説明についてはA19をご参照下さい。

Q:加害者の任意保険会社から連絡がきましたが、どうすればいいかわかりません。

加害者が任意保険会社に加入している場合、その任意保険会社が加害者の代理人として交通事故の民事問題の処理に必要な事務処理や被害者に対する交渉も担当します。従って、その保険会社の要求に応じて対応してゆくことによって交通事故の民事の問題について一定の解決が図れるシステムには一応なっています。
しかしながら、その保険会社は加害者の代理人であって被害者の代理人ではないので被害者のニーズに沿って対応してくれるとは限りません。
そればかりか、本来適正とされる保険金額よりもはるかに低額な支払額をその保険会社から和解金額(保険金支払額)としてて提示され、「保険会社の和解提示金額だからら適正なものであろう」と考えてそのままその金額で和解をしてしまい、後々とても後悔するといった事態もしばしば起こります。
多くの交通事故の民事問題を取り扱う弁護士が「保険会社から和解金額の提示あったら一度弁護士に相談した方が良いですよ」とアドバイスするのはこのためです。なるべく早い段階で、一度交通事故を専門的に取り扱う弁護士に相談されることをお勧め致します。

Q:加害者の任意保険会社から後遺障害等級認定のために後遺障害診断書を提出して欲しいと言われました。後遺障害はどのように判断されるのでしょうか?後遺障害診断書には何を書いてもらえば良いのでしょうか?

後遺障害がどの程度かによって、損害額(保険金額)は大きく変わる可能性があることから、被害者にとって後遺障害等級認定はとても重要な問題となります。
後遺障害等級認定は、「症状が固定したこと(治療が終了したこと)」を前提に、被害者から提出された医師作成の後遺障害診断書をもとに判断されます。
治療が終了して症状が固定しており後遺障害認定を受けるべき時期なのかどうか、後遺障害診断書の「記載内容」などについて担当医と相談しながら検討する必要があります。
専門的知識を有する弁護士にご相談された方が良いケースも少なくないことにご留意ください。

Q:後遺障害等級認定に不服がある場合は、どのようにしたら良いでしょうか?

後遺障害等級認定に不服がある場合は異議申立を行うことができ、これにより等級認定結果が覆る可能性があります。
但し、これを覆すには、医師に改めて後遺障害診断書を作成してもらうなどの手続が必要不可欠な場合も少なくありませんので、異議申立を行った方が良いかどうかについても含めて、専門的知識を有する弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

Q:保険会社から和解金額の提示がありましたが、これは妥当な金額なのでしょうか?どのように判断されるのでしょうか?どうしたら良いでしょうか?

保険会社からの和解金額の提示があった場合、それが妥当な金額かどうかは、個別のケースに応じて判例実務なども踏まえて専門的、法的に判断されることになります。弁護士に依頼した場合には和解金額が増額するケースが多いため、その金額が妥当な金額かどうかについては、交通事故を専門的に取り扱う弁護士に相談されることをお勧めいたします。

Q:弁護士に民事の手続についての代理人を依頼した場合、弁護士はどのようなことをしてくれるのでしょうか?

弁護士は、交通事故実務についての専門的知識と判断を基に、あなたの置かれた状況、ニーズに即して、民事の保険金請求、損害賠償請求等に必要な事務処理手続を代理人として進めることになります。

Q:弁護士に民事手続についての代理人や、刑事手続についての代理人活動もお願いしたいのですが、弁護士費用は自分で支払わなければならないのでしょうか?弁護士特約は利用できるでしょうか?加害者に負担させることは出来ないのでしょうか?

ご自身あるいは親族等が加入している自動車保険に弁護士特約がついており保障の対象となる場合、民事の保険金請求や損害賠償請求について弁護士特約を利用して所定の金額(多くは300万円)まで弁護士特約によって民事手続についての弁護士費用を賄うことが可能です。
これに対して、刑事手続についての弁護士費用については、弁護士特約の対象範囲外であり弁護士特約によって賄われないのが通常です。
また、民事手続についての弁護士費用を加害者に負担させることは、民事裁判において、「判決」を得た場合には通常認められますが、刑事手続についての弁護士費用は原則ご自身で負担しなければならないとお考え下さい。

Q:加害者が自賠責保険には加入していますが任意保険に加入していない場合、どうしたら良いでしょうか?加害者に弁護士もついていません。

加害者が任意保険に加入していない以上、保険会社が加害者の代理人として交通事故の事務処理を加害者の代理人として担当することはありません。
従って、被害者自身が直接加害者に対して直接損害賠償請求を行って交渉する必要があります。
しかし、加害者には損害の全てを賠償する資力がないことも多いです。そこで、確実に一定額の損害の補填を受ける方法としては、加害者が加入する自賠責保険に対し自保険金請求をすることにより賠責保険に定める支払限度額で保険金を受け取れます。
また、被害者側がご自身で加入されている任意保険で「人身傷害保険」や「無保険者傷害保険」に加入されている場合、これらによってもある程度の損害がカバーされる場合がありますので、加入している保険会社にご確認下さい。
通勤途中の事故などの場合には労災保険が適用される事案もありますので、この点もご確認下さい。

Q:加害者が任意保険どころか自賠責保険にも入っていません。どのようにすれば良いでしょうか?損害はどのように賠償されるのでしょうか?

加害者が自賠責保険にも加入していない場合、被害者は政府の保障事業により自賠責保険と同じ支払限度額で保障を受けることが可能です。
詳細は国土交通省のホームページなどをご確認下さい。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/accident/nopolicyholder.html#seifu

「人身傷害保険」等の有無、労災保険の適用の有無などについても、Q21をご参照下さい。

Q:加害者が逃走してまって(轢き逃げ)加害者の特定が出来ていません。損害賠償の問題はどのようにしたらよいでしょうか?

轢き逃げの被害を受けた場合も上記A22と同様に政府保障事業の対象となります。
申請をすることで自賠責保険と同じ支払限度額で保障が受けられます。
「人身傷害保険」等の有無、労災保険の適用の有無などについても、Q21をご参照下さい。

Q:夫が(妻が)事故で亡くなり(重大な後遺障害を負い)、家計がひっ迫しています。加害者に厳罰を求めたいのは当然ですが、当面の生活費にも困っています。それでも刑事裁判が終わるまで保険金の支払を受けたり示談をしない方が良いのでしょうか?

A11において、一部の保険金や損害賠償金を受け取っていること、さらには示談が成立していることが加害者の刑事責任を軽くする事情として考慮されてしまうとご説明致しましたが、それもあくまでも相対的なものでケースバイケースですから、状況に応じて、自賠責保険の(仮渡金や内払金、本請求)を受けたり、さらには任意保険金を受け取って示談をすることが優先されるケースも当然にあることと思われます。

DV

Q:配偶者から暴力を振るわれたとき,どうすればいい?

一番大事なのは、身の安全を守ることです。
そのためには、安全を確保できる場所がある人は、そこに、ない人は警察に通報するか、配偶者暴力相談支援センターに連絡をしましょう。

Q:刑事・民事で何ができる?

【刑事】
被害届又は告訴を出します。
【民事】
保護命令の申立てをします。
離婚手続きを開始します。

Q:保護命令とは?

地方裁判所が加害者に対し、以下の行為を禁止する命令を出してくれます。

(1) 被害者への接近禁止命令
(2) 被害者への電話等禁止命令
(3) 被害者の同居の子への接近禁止命令
(4) 被害者の親族等への接近禁止命令
(5) 被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去命令

Q:保護命令はどういう場合に認められるの?

配偶者(事実婚を含む)から、身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受け、今後も配偶者から身体に対する暴力を受けることで、生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合に認められます。

Q:保護命令を出してもらうためには,どういう証拠があればいい?

暴力や脅迫を受けたことがわかる証拠、すなわち傷の写真や病院の診断書、動画や音声データなどが重要な証拠になります。

Q:保護命令の申し立てをしたら、裁判所に行かないといけないの?

裁判官から話を聞かれる手続き(審尋)があり、そこでお話しをしていただきます。

Q:裁判所で相手方と会ってしまうのでは?

加害者の呼び出し日は別の日になるため、加害者に会わなくても大丈夫です。

Q:着の身着のままで出てきたけど、荷物を取りに行きたい

保護命令の内容として、退去命令があります。
命令が出されると、加害者は生活の本拠から2カ月間退去しなければなりません。
この間に、引っ越し手続きを進めましょう。

Q:保護命令が出ない場合、荷物はどうやって取りに行けばいい?

警察の生活安全課が引っ越しの立会をしてくれることがあります。

Q:シェルターってどういうところ?

DV被害者を一時的に保護するための施設で、利用できる期間は通常2週間です。

Q:子供も一緒に入れるの?

子供の入居については、各施設によって異なり、子供の年齢制限がある施設もあります。

Q:シェルターに入ると、どんな制限があるの?

加害者に知られないように、シェルターの場所は公開されていません。
そのため、外出、手紙の投函、携帯電話の使用、親族等への所在を知らせることなどが制限されます。

Q:離婚の話をしたいが、直接本人と会いたくない

離婚の手続きは、弁護士に依頼することができます。
加害者とのやりとりは弁護士が窓口になります。

Q:離婚したい場合、どういう手続きが必要か

まずは、協議で離婚できないか話し合います。
協議が整えば、合意書を作成し、離婚届を記入して提出します。
当事者間で協議が整わない場合は、離婚調停を申し立てます。
その後、裁判官の判断によっては審判離婚に移行するか、調停不成立となります。
調停不成立となった場合は、離婚訴訟を提起します。

Q:調停した場合、裁判所で加害者と会わないといけないのか

調停は、調停員が申立人と相手方から交互に話を聞く手続きです。そのため、加害者と同席の上、話をすることはなく、加害者には会いません。
また、通常は調停が成立する際に、申立人と相手方が同席して調停条項の確認がなされます。
しかし、特にDV被害がある場合は、別室での調停条項の確認をしてくれることが多いです。

Q:調停が終わって帰るとき、相手方に会ってしまうのではないか心配

裁判所に相談すれば、加害者が裁判所から出て行ったのを確認してくれるか、加害者を待機させ、こちらから先に裁判所を出るように配慮してくれます。

ストーカー

Q:ストーカーに付きまとわれている、どうしたらいいか

警察に被害届を出すと、文書で加害者に警告してくれます。
それでもストーカー行為が止まない場合、禁止命令等を出してもらいます。
その禁止命令にも違反をした場合は、警察で事件として取り扱い、逮捕等をしてもらいます。
https://www.npa.go.jp/cafe-mizen/consultation.html

Q:前の交際相手から、ひっきりなしに電話やメールが来る、着信拒否にしていい?

いきなり着信拒否をした場合、逆上して自宅や職場に押し掛けてくるなどの可能性が出てしまいます。
「連絡をするのはやめてほしい」という意思表示をしっかり伝えた上で、すぐに警察や弁護士に相談するのが一番です。

Q:弁護士はどんなことをしてくれるの?

警察への事情聴取に同行したり、相手方に通知文書を送付することができます。